普通に日常生活を送っていると、慰謝料を意識することはあまりないかもしれません。しかし、事故と言うのは前触れもなく突然に遭ってしまうものです。この記事では、人身事故の慰謝料について、相場や示談の際の注意点などをご紹介しています。

人身事故とは?慰謝料とは

人身事故

交通事故には「物損事故」と「人身事故」の2種類があります。けが人や死傷者が出た場合に人身事故として扱われるのです。一般に人身事故の方が慰謝料は高くなる傾向にありますが、この2つの違いは慰謝料だけにとどまりません。加害者側に影響が大きく、免許の減点や取り消しの行政処分、罰金刑や懲役刑などの刑事処分を受けることになるのです。

人身事故は加害者、被害者ともに大きな傷を負うことになるケースが少なくないので、誰も経験したくないものと言えるでしょう。

慰謝料

慰謝料とは、精神的な苦痛に対して加害者が被害者に支払うべき損害賠償金のことを言います。人身事故の場合は、保険会社が被害者に支払うことがほとんどで、けがの程度や仕事の休業期間などで賠償金にかなりの差額が発生します。それぞれのシーンで妥当な賠償額が決まっていますので、保険会社の言いなりにならないよう事前に相場を知っておくことは必要でしょう。

慰謝料の相場ってどれくらい?

ここでは慰謝料がいくらもらえるのか、そのケースごとの相場や計算方法をご紹介しましょう。人身事故の場合、「後遺障害慰謝料」「入通院慰謝料」「死亡慰謝料」の3つに分類されます。

後遺障害慰謝料

後遺障害とは事故後も治癒せず残った症状のことを言います。代表的なむち打ちから手足が麻痺して動かなくなる重症のものまでが含まれます。

相場は等級ごとに異なっており、弁護士基準で言えば最も軽い14級で1,100,000円、7級からは10,000,000円を超え、最も重い1級では28,000,000円となっています。

入通院慰謝料

これは、事故が原因で入院することになったり、退院後もリハビリや検査などで通院を余儀なくされたりすることによって負わされる精神的苦痛への慰謝料のことを指します。

この慰謝料の弁護士基準は、日弁連が発行している「赤い本」の表により算出されます。通常の入通院とむち打ちで表が分かれており、金額が異なります。入院・通院が単独で発生した場合の基準は下記の通りです。

  • 通常の入院:1月/53万~15月/340万円
  • 通常の通院:1月/28万~15月/164万円
  • むち打ちの入院:1月/35万~15月/228万円
  • むち打ちの通院:1月/19万~15月/122万円

入院と通院双方が必要になった場合は、「赤い本」の表の縦軸と横軸が交差した金額が適用されます。詳細は下記のリンクを参考にしてみてください。

死亡慰謝料

被害者が事故によって亡くなった場合に支払われる慰謝料となります。これは、亡くなったご本人への慰謝料とそのご遺族への慰謝料とで分かれていますが、この2つがまとめて死亡慰謝料として支払われます。ここの相場も弁護士基準でご紹介すると、下記のようになります。

・一家の支柱:2,800万円~3,600万円
・子ども:1,800万円~2,600万円
・高齢者:1,800万円~2,400万円
・上記以外(配偶者など):2,000万円~3,200万円

慰謝料は総じて、弁護士に任せる方が高額になる傾向があります。保険会社の基準額は基本的に低いものですので、納得できない場合は弁護士に相談することも検討されると良いでしょう。

保険会社との示談で注意すべきこと

人身事故に遭うと多くの場合、保険会社との示談交渉になることが多いかと思います。ここで注意しておかないといけないのは、保険会社の言い分をそのまま受け入れないということです。その中で最も危険なのは、人身事故を物損事故でまとめられてしますことです。

物損事故にするデメリット

「怪我の治療費も全てお出ししますので」と言うことで、保険会社はとにかく物損事故として交渉してくることが少なくないようです。これは被害者側にとってメリットは何もありません。

事故当初は大した症状がなくても、後々首が痛くなったり体に不調が出てくることはよくあることです。物損事故として処理してしまうと、このような後遺症が出ても逸失利益や慰謝料はもらえなかったり、長期治療となっても損害賠償金を請求できないことも考えられます。また、加害者ともめることになっても、警察は民事不介入の立場から解決を手伝ってはくれません。結局、泣き寝入りすることになる被害者が多いのです。

症状をしっかり見極め、安易に物損事故として処理することはしないようにしましょう。

物損事故から人身事故への切替

事故当時に物損事故としてしまったけれど、後から身体に異変が出てきたというケースもよくあることです。そのような場合も対応方法はあります。事故発生早期のうちに手続きをして、人身事故へ切り替えることが可能なのです。

この手続きは警察へ届け出るか弁護士に相談するのが主な解決方法なのですが、警察は検証の多さや時間のかかる案件であることから、中々動いてくれないことが少なくありません。おすすめなのは、交通事故に強い弁護士に相談してさっさと警察を動かしてしまうことです。どのような証拠を揃えればよいかなども適切にアドバイスしてくれますので、負担も幾分軽くなることでしょう。

ちなみに、切り替え手続きするまでの期限などはありませんが、なるべく早期に対応されることをおすすめします。あまりにも遅くに手続きをしたところで、事故との関連に信憑性を持たせることができなくなるからです。目安は1週間~10日間と考えておけば良いでしょう。

まとめ

ここまで、人身事故の慰謝料についてご紹介してきました。

事案ごとに慰謝料にもかなりの幅があって、交渉次第では高額の慰謝料が勝ち取れることもお分かり頂けたかと思います。事故は起きないに越したことはありませんが、いざという時のために知識を身に着けておくことは良き備えとなることでしょう。